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「子どもの入院の付き添いに関するアンケート」を実施しました。

2022年04月25日 福 祉

     「子どもの入院の付き添いに関するアンケート」実施のご報告

 子どもが入院した場合、ご家族の付き添いを求められることが多く、訪問看護を行う中で、ご家族から付き添いに伴う身体的・精神的負担が強い、ということをお聞きすることが多くありました。 付き添いは必要と思いながらも、きょうだい児の世話、自身の体調に不安がある、など様々な思いがあり、それぞれに負担が大きく疲弊されている姿を目にすることがありました。        

 そこでまずは、子どもの入院に付き添うご家族の思いや、付き添う環境の実態を把握し、訪問看護師として私たちにできることを考え、具体的な支援に繋げていけるようにしたいという思いからアンケートを実施しました。

 

【アンケート概要 】 

実施期間  2021年12月16日~2022年1月31日  

実施対象  子どもの入院に付き添いの経験があるご家族  

実施方法  愛媛県中予地区の訪問看護ステーションにアンケートの趣旨を文書で説明。賛同が得られ、対象者が             お     られるステーションにアンケートを配布し、後日回収しました。

回答者数  46名

 

【アンケート結果】  

〇付き添い者 :  母親が72%  (母親以外では、父・祖母など)

〇付き添いをして困った事や感じたこと

     体調を崩した : 43%   栄養の不足、偏りがあった : 28%     睡眠不足 : 34%      入浴、食事、洗濯の時間が確保できない : 41%     経済的な影響・不安 : 47%      精神的な苦痛 :  30%     付き添い者の職場への影響 : 4%  

〇家族への影響あり : 56%  (その内、同胞への影響 : 50%)  

  付き添い者の体調や睡眠、経済的な負担が大きく、また付き添い者の大半が主に家庭での育児を担っている母親であるという事から、自宅で待つ同胞への影響も大きいことが分かった。 これらの事から、付き添い者の精神的な負担は大きく、新たな子どもを儲けることにも躊躇するといった状況があった。

 

以下は回答の抜粋

◎付き添いをして困ったことや感じたこと  

・外に出て食事するものを買いに行く時間がなく、ほとんど病院内のコンビニで買っていた。コストもかかっていた。  

・別々に過ごすこと(病院に子と母、家に父)になるため、生活費が二重にかかり、経済的にも少ししんどく感じた。  

・子どもが寝たタイミングでしか入浴や食事の調達ができないので、慣れるまでは食事を食べられない時も頻繁にあった。それが続くと身体的にしんどかった。親の食事も出してくれたら良いなと何度も思った。  

・24時間、何か月も外の空気を吸わなかったら、精神的にしんどくなりました。  

・初めての育児、ましてや病児を育てる最初の場所が病院での付き添いでした。自身も入院経験があまりなく、何もかも手探りの状態でした。初めはすっとNICUにいた子供と過ごせることがうれしかったのですが、水分制限のある子どもは、夜中に何度も目を覚まして泣き止みませんでした。病室のベッドは大人が3人やっと座れる程度の長椅子に、レンタルの薄いシーツとタオルケットで熟睡することは難しく、昼間子どもが眠ったタイミングで眠ろうにも、代わる代わる人が入ってきます。1日に45分だけ保育士さんがきてくれますが、1階に降りてシャワーを浴びて、食事を売店で購入すると、全く時間が足りませんでした。付き添い者の食事は一切出ないので、栄養も偏り、お金もかかります。ベッドはレンタル代が1泊770円。シャワーが10分100円。冷蔵庫はテレビカードを購入しないと使用できず、洗濯は乾燥も含め300円はかかるので、経済的にも厳しいです。

 

◎家族への影響  

・祖母がきょうだいの世話で疲れてしまう。

・寂しい思いをさせたと思う。上の子(2歳)は精神的に不安定になり、小1で頻尿になったり、夜寝なかったりした。産まれた時から入退院が多かったことに加え、上の子(2歳)まで気に掛ける余裕が自分になかった。  

・児に少しでも体調の変化があるときょうだいが「入院?ママも入院?」と児の体調の変化に敏感になり、いつも緊張感を持っているように感じる。(児が入院=ママも不在となるため)  

・付き添い入院中、きょうだいが「学校に行きたくない」「幼稚園に行きたくない」と言い、不登校気味になる。

・きょうだいが夜泣いて電話してきたり、精神的不安定になっていた。できるだけ楽しく過ごせるようにしていたが、家族が一緒に居られないことが、幼い子供にはとても辛い様子。  

・受傷時は実家からも遠く離れていて、県外の実家から半年間祖母が手伝いに来てくれた。実家にも負担が大。

 

◎その他  

・長期の入院になると、入院している病児もきょうだいも家族も、それぞれが乗り越えるものがありますが、きょうだいもいろいろな人に気にかけてもらったり、母も付き添いのお母さん達と励まし合ったり、入院中の工夫を教えあったり、仲間のお母さんが差し入れやラインで励ましてもらったり、気にかけてくれたり、仲間のお母さんや付き添いで知り合ったお母さん達から助けてもらったり、励ましてもらったり、たくさんの温かな優しさをもらいました。

・2人目を考えていますが、付き添い入院の事を考えると、なかなか踏み込めずにいます。 きょうだいができれば、もう一人の世話はどうすればよいのか不安です。妊娠中でも悪 阻のことを考えると、付き添いはどうすればいいのでしょうか。それと、時々子どもの 泣き声を聞くと、付き添い入院の事を思い出して、怖くなることがあります。付き添い 者の環境が少しでも良くなることを切に願います。

 

<要望>    

・個室代が高い。もう少しリーズナブルな価格にしてほしい。

・付き添いの者にも希望したら食事が提供されると助かる。

・入院の用意をしに家に帰らないといけない時、子どもを看てくれる人がいると助かる。

・付き添いベッドや布団が良くない(ベッドは硬くて小さい。布団は暖かくないし重い。)  

・1日中ずっと付き添いではなく、家の用事をする間、看護師さんに看ていてほしい。

・きょうだいの状況など、病棟側ももう少し積極的に把握してほしい。  

・付き添い用のベッドが欲しかった。  

・入院が長くなると精神的にもしんどくなるので、話を聞いてくれる病院スタッフの人が いるとよい。  

・NICUを退院するとき、次回から入院時は付き添いが必要であることを説明してほしい。

・看護師さんや医者が食事中や着替え中、授乳中も入ってこられたことがあります。配慮 してほしい。  

・個室になった時の個室料金が負担にならないように、経済面で何か助けてもらえる制度 があると良い。

・訪問看護師さんなどが(普段介助している人)、病院に来てほしい。  

・家族支援として、付き添い入院で母が不在の時に、きょうだいが体調を崩した場合に様子を見に行ってほしい。

・1日でも、数時間でもいいので、母、父以外の方に交代してもらえる制度があると助か る。

・まだ赤ちゃんの頃、上の子の預け先で困っていたら、施設を勧められました。病児に親 が付き添って、きょうだいは施設にというのなら、入院している方に誰か付き添ってく れるような行政サービスがあればいいのにと思いました。

 

●ご意見の中には、「付き添いたい。」「付き添うのは当たり前。」「大変だけど、体制が整っていないから付き添わないと心配。」という意見もありました。    

・大変なこともありますが、近くで自分が看ることができるのが一番安心なので、きょうだいがいないこともあるかもしれませんが、付き添い入院ができるのはありがたくもあります。

・16歳以上の入院は小児病棟ではなく一般病棟になるので、本人の事を知らないDr、Nsの対応が不安。病棟の環境が変わるし、今までのように付き添いができるか分からない。  

・大変だけど、付き添い入院しなくては心配。子どもによっては、親ではないと難しいと思うので仕方ないような気もします。    

・もし完全に病院側に任せるにしても、それはそれは不安で心配でゆっくりはできないと思う。  

・低年齢の子供さんの家族の付き添いは当然だと思います。意思疎通が難しい場合があるのに、いくら看護師さん、お医者さんといえ、何もかもお任せするのは私は心配です。

・医療的ケアが必要な重心の子供たちは、とてもケアがデリケートで複雑なので、いつも看てくれている者でないと難しいと思います。

・本人単独入院は危険・事故につながると判断しました。本人の命を守るためには仕方ないと思っています。    

・子どもを看るのは当たり前と思っているので、特に思うことはありません。  

 

 

今回のアンケートでたくさんのご意見を聞き、どの方も、全く付き添いたくないというわけではなく、『付き添いの環境を整えてほしい』という思いがあることが分かりました。            

1日中病院を離れることができないストレス、きょうだい児や祖父母などの家族へ負担をかけることのストレスを強く感じられていました。  

付き添い環境については、行政機関への働きかけや病院関係者の方の協力も必要になりますが、ご家族が安心して子どもの療養環境を支えられ、またご家族自身の健康も守られるよう柔軟な対応をしていただくことが、子どもへのより良い支援に繋がると思いました。

長期入院されているご家族に食品や生活用品を無料で届ける活動をされている東京のNPO法人があったり、様々な調査やメディアでも子どもの入院の付き添いに関するご家族の影響について問題提起されています。

今回いただいた回答から在宅支援に携わる私たちにできることを考え支援に繋げていきたいと思っております。

アンケートにご協力いただいたご家族の皆さま、並びに各訪問看護ステーションの皆さまにお礼申し上げます。

                                              

                                             2022年4月